2007年7月29日日曜日

おさん狐 全3幕のあらすじ と なんばみちこ詩集『おさん狐』


マービーミュージカルin倉敷の顧問である、守屋栄子先生から、メールで、おかやま県民文化祭に提出した書類を送っていただいた。






このなかの、全3幕の簡単なあらすじをご紹介する。

=============================================================

ミュージカルファンタジー「おさん狐」〔 作者 なんば みちこ  作曲 多田 敏恵 〕 
吉備地方に伝わる「おさん狐」のお話を三部構成で上演する。


第1幕 満月の夜(化かす狐と化かされる人間) 
第2幕 祭り・狐の嫁入り(祭りで出会った人間の男に恋する狐の話と狐の嫁入り)
第3幕 お春ん恋(自然界で狐と人間が共存する難しさ)・・・等を表現していきたい。     
  市民が主役、市民が自主運営する市民ミュージカルとして、保育園児から70歳代までの幅広い市民が舞台に立ち自己表現する喜びを体感したり、市民が演出・脚本・作曲・振り付け・大小道具・衣装等、手作りの舞台を創りあげたりして、地域の文化の発展と地域の活性化を図りたい。

=========================================
なんばみちこさんは、詩集として『おさん狐』を2004年に出版されている。

大熊は手元に無いが、検索すれば、2004年頃の詩を紹介したブログに、
その本の中のひとつのが紹介されていた。

■ なんば・みちこ氏詩集『おさん狐』の紹介
  2004.11.3
東京都新宿区
土曜美術社出版販売刊
2000円+税
 
    狐ん嫁入り

   子狐が初めて化ける練習ん時ん
   お母狐が言うたてえ
   ……みんなめえめえ得意(とくゆ)う持たにゃあおえん
     それにゃあなあ なりてえもんをよう見てから
     そんとおりがでけるまで練習せにゃあおえんぞな
   せえからみんな始めたてえ   

   鳥んなりてえ子狐あ
   ほんまじゃ 鳥にゃあ足二本
   ふさふさの毛もねえ尻尾もねえ
   耳もねえなあ そん代わり
   くちばしがあって羽がある
   人間になりてえ子狐あ
   ほんとじゃ 人間は難しいなあ
   男と女は格好も違うし髪型も違う
   話しかたまでみな違う
   子供と大人もみな違う   

   せえでもみんな
   一生懸命やったてえ
   人間の娘に化けたお春はのう
   嫁入り行列がやってみてえ言うて
   お母狐へせがんだてえ
   兄弟狐も手伝う言うけえ
   お母狐も承知(しょうちゅ)うした   

   朝から晴れて雲もねえのに
   雨が降ってきて
   降り出えたか思うたらすぐ止んで
   かっかかっかまた日が照り出すことがあるじゃろう
   あれじゃ
   あん日もそうじゃった   

   まだ少うし雨が残って
   雨ん筋が生糸みてえに光り光り
   天から斜めに落ちゅうた
   そん時じゃった
   角隠(つのかく)しゅうつけたきれえな嫁ごの行列が
   山ん麓ん道うしずしず進んで行ったんじゃ
   そりゃあきれえじゃったで 
   田んぼをしょうた百姓らあ
   めったに見えん行列う
   腰う伸べえて見送ったんじゃ
   衣装がまたぼっけえもんじゃ
   お姫(ひい)さんでも作ってもらえんような
   きんきらきんきら虹みてえに輝(かがえ)えとった   

   せえじゃけえど うしろから二番目のお供がのう
   一人だけ少しばあ遅れて付(ち)いて行きょうたが
   太え(ふて)尻尾をのぞかせとった
   一番後ろを品のええ年増(としま)が行きょうたが
   これがおさん狐に違えねえ 色気が違う
   前(めえ)の尻尾を着物の裾で一生懸命隠しょうた   

   村ん者(もん)は 拍手うして見送った
   ……うめえもんじゃ ほんにのう
   ……ええもん見せてもろうたわい
   せえからもういっペん
   じっと見つみょうとしたら
   消えとった
   狐ん嫁入りん出合(でお)うたら
   ええことあるんで


著者のご自宅から1kmほど南にある伊予部山(いよべやま)に伝わる狐の話をもとにした作品だそうです。
18編の詩すべてが「おさん狐」に関する作品です。母狐のおさんには8匹の子狐がいて、昔話の通りに化けて人間と接しています。そのいたずらにあたたかい眼を向けている人間の姿は、紹介した作品からもお分かりいただけると思います。
ここでは私たちにも馴染み深い狐の嫁入りを紹介してみました。
岡山の方言が好い味を出している作品だと思います。
詩集を通読して思うのは、かつての自然と人間の関係が失われてしまった現実です。
たった40年、50年前には確かにあったその関係がいつ頃から無くなってしまったのか、
そんな問を知らずに考えてしまった詩集です。
★狐に象徴される自然と人間との、豊かな交流・ふれあいがミュージカルのひとつのテーマだろうか。

1 件のコメント:

DCクーパー さんのコメント...

初めまして。真備町の薗小学校に通ってた頃守屋 栄子先生という方が担任でした。
片付けをしていたら年賀状が見つかったので、検索したらこのブログにたどりつきました。
守屋 栄子先生はお元気でしょうか?
同姓同名で違う方かもしれませんが…